有限会社マルダイ製陶

100年の歴史を誇る美濃焼の老舗窯元が
培った技術や開発力を第三者に譲渡


 地場産業である美濃焼の老舗窯元として、100年以上の歴史を誇るマルダイ製陶。代表取締役の鈴木義之社長は30歳の時、妻のさち子さんとともに家業を継ぎ、タタラ作りによる手作りのオリジナル食器の製造や名入れ食器のネット販売に力を注いできました。しかし近年、陶磁器業界の浮き沈みが激しい中、鈴木社長は60歳を過ぎた頃から、この先どのように続けていけばいいかを考え始め、第三者承継という方法があることを知ります。ちょうどその時、土岐商工会議所が岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターや地元金融機関である東濃信用金庫と連携して開催する「事業承継個別相談会」の案内が届き、さち子さんの勧めもあり、鈴木社長はまずは話を聞いてみようと参加しました。最初は「うちのような小さな企業では、引き受け先がないのではないか」と思っていましたが、そこで出会った岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターの小澤孝サブマネージャーから「小規模の企業でも可能性がある」と聞き、譲渡先を探してもらうよう依頼しました。


 一方、酒井幸太郎さんは2012年に音楽出版物のネット販売を行う会社を設立後、故郷の愛知県瀬戸市の陶磁器販売を開始。その中で、職人の高齢化や窯元の廃業など、業界の厳しい現状を肌で感じ、製造からのワンストップ販売を行うため、美濃焼メーカーのM&Aを模索していました。これを知った小澤サブマネージャーが、さっそく両者を引き合わせたところ、すぐに意気投合。第三者承継では仲介業者を入れることが多い中、承継への確かな思いを抱いた両者は、支援を受けながら自分たちで事業譲渡実現まで漕ぎつけました。「小澤さんが段取りや書類作成の方法をきめ細やかに教えてくれたので、スムーズかつスピーディーに承継することができました」と笑顔を見せる鈴木ご夫妻。

 ご夫妻は、今後も会社に残り、長年培った技術や商品開発力に酒井新社長の新たな視点を取り入れた、食器作りに意欲を見せています。酒井新社長も「温故知新の精神で新たな美濃焼を世界に発信したい」と、今後に大きな期待を寄せています。

有限会社マルダイ製陶

〒509-5122
岐阜県土岐市土岐津町土岐口1400-1

設  立

1916(大正5)年

従業員数

4名

事業内容

タタラづくりを中心とした
オリジナル食器の製造・販売

会社概要