昔から「いつかペンション経営をしたい」と考えていた𠮷田茂さんは、1989年、郡上市にめいほうスキー場ができると聞き、近隣の別荘地を購入。40歳の時に会社を退職してフランス料理や経理を勉強し、接客を担当する奥様とともにペンション四季彩をスタートしました。
息子の寛さんは、大学を卒業して他県の企業に就職しましたが、地元を離れたことで故郷・郡上市の魅力を色濃く感じるようになり、2011年に帰郷してペンション運営を手伝い始めます。当初、茂さんは自分の代で廃業してもいいと考えていましたが、寛さんに承継の意志があることを知り、「それならば早く譲ろう」と70歳までの承継を考えるようになりました。
しかし、いざ着手しようとすると手続きが複雑であることが分かり、以前から奥様が経理のノウハウを学ぶなど、さまざまな支援を受けていた郡上市商工会に相談。「専門家の支援を受けて、しっかりと手順を踏んだ方がいい」とアドバイスを受け、岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターの支援を依頼することにしました。
面談した同センターのエリアコーディネーターは、まず専門家として中小企業診断士を派遣し、事業承継計画の作成を提案。中小企業診断士は、親子それぞれの思いや事業の現状を洗い出し、時系列で解決すべきことを見える化していきました。さらに、事業承継の課題である税金面をサポートするため、エリアコーディネーターは税理士を派遣。税理士のアドバイスから、𠮷田さんは現在の負債を計画的になくし、承継に進むのが最善だと考え、2024年の承継に向けた事業承継計画を完成させました。
また、寛さんは2019年にどぶろくの製造特区が郡上市全域に拡大したことを機に、醸造酒免許を取得し、オリジナルのどぶろく「水沢上ヶ池」の製造・販売を開始しており、承継後も新規事業として発展させたいという思いがありました。その点も、エリアコーディネーターは補助金などの支援施策活用を助言。寛さんは、「今後も郡上市商工会などと協力して、どぶろくを使った地域振興をしたい」と意欲を見せています。
今後計画に沿って承継を進める𠮷田さん親子
オリジナルどぶろく
「水沢上ケ池(みぞれがいけ)」
〒501-4304 岐阜県郡上市明宝奥住3447–114
TEL・FAX.0575-87-2980