渡辺満さん・澄子さん夫妻は、1979年にカイワレ大根などを生産販売する株式会社 日本ライン促成を創業。その後、会社を廃業し、2008年から個人事業主として、近隣の畑で栽培されていた桑の葉を使った「桑の葉茶」の製造・販売をスタートしました。桑の葉は、現代人に不足しがちな亜鉛やカルシウムなどのミネラルや食物繊維が豊富で、渡辺さん自ら収穫し、手作りで加工する「桑恵茶(そうけいちゃ)」は、健康に気遣う多くの方に愛飲されています。
一方、事業を承継した若尾好野さんは、可児市で漬物屋を営み、“医食同源”を目指して生薬などを扱っていました。70歳で仕事を引退後は、知人だった渡辺さんを手伝い、桑の葉茶の製造をサポート。仕事のノウハウを覚え始めた頃に、渡辺さんから事業承継の相談を受け、受け継ぐことを決めました。
桑恵茶製造工程
渡辺さん夫妻は、収穫した桑の葉茶を細かく粉砕し、袋詰めした茶葉を外部委託でティーパック化。岐阜県内の各地で、年間約150㎏の桑の葉茶を販売してきました。桑恵茶は遠方からも問い合わせがあるほど人気を博していますが、ご夫妻が高齢となるにつれ、事業を継続するための後継者がいないことが課題となっていました。
可児ビジネスカフェにて
渡辺さんは2021年に後継者を探すため、美濃加茂商工会議所に相談。岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターを紹介され、後継者候補とのマッチング支援を受けましたが、なかなか見つかりませんでした。その経緯を知った若尾さんは将来を見据え、このままでは「桑恵茶」がなくなってしまうと考え承継を決意しました。
栽培中の渡辺さん
事業承継を決めてから、センターのサブマネージャーさんには、契約を含めて多くのことを相談しました。課題だった原料となる桑の葉の確保も、新たに苗を購入し、自分たちで栽培に着手。さらに今後は、花農家の協力を得てインターネットでも販売するなど、事業継続の不安解消にもつながりました。