親族内承継
松澤製麺所
製造業
この味をなくしたくないと願う娘に
創業100年の製麺所を承継
1923(大正12)年の創業から変わらぬ製法で、ていねいに作られた生麺を飲食店に卸していた松澤製麺所。しかし、コロナ禍による売上の低下や先代の介護などが重なり、4代目として店を受け継いでいた松澤明美さんは、「自分の代で店を廃業しよう」と考えていました。
そこに待ったをかけたのが、長女の北折里香さん。結婚して実家を離れたことで、子どもの頃から食べていた麺や餃子の皮などのおいしさを再認識し、「この味がなくなるのは嫌だ」と感じた北折さんは、銀行に勤める傍ら、事業のサポートを始めます。
北折さんは、松澤さんから製麺技術を習いながら、機械の買い替えや卸売から小売へのシフト、オンラインショップの開設など、さまざまなことに挑戦し、手応えを実感していましたが、さらなる成長を目指して、経営基盤の強化やそのための制度活用が必要と考え、大垣商工会議所に相談。岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターから派遣された専門家の支援を受けることにしました。
事業承継を機に現状や強みを再確認
地域に貢献する商品開発にも意欲
岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターの派遣専門家は、まず事業承継計画の作成をサポート。その際、原価や生産量などを数値化した生産計画や設備投資を視野に入れた収支計画なども作成し、今後の改善策などを一緒に検討しました。
当初は「経営のことは分からない」と話していた松澤さんも、毎回打合せに参加し、北折さんは「母の考えや思いを聞く場を持てたことは、非常によかったと感じています。また、製麺方法などを第三者に説明することで、あらためて当店の技術やノウハウ、接客のていねいさなどの見えない資産を知ることもできました」と、成果を振り返ります。
現在は、飲食店などへの卸売に加えて、北折さんが以前から取り組んできた小売も好調。テレビなどのメディアにも取り上げられ、新たな顧客やリピーターも増えてきているといいます。また、地元特産品の明日葉を入れた商品開発などにもチャレンジしており、北折さんは「これからも安定した経営を継続し、地域に喜ばれる商品を作っていきたい」と、地元に根ざした店舗を目指しています。

代々伝わる製法を守る麺作り

ネットショップのほか毎週水・金曜に小売り販売も実施



松澤製麺所
〒503-0886
大垣市郭町東1-63
設 立
1923(大正12)年
従業員数
2名
事業内容
うどん、そば、中華麺など生麺の
製造・販売