第三者承継(従業員承継)
株式会社アルクア飛騨
製造業
国内唯一の子ども用レインブーツ工場
第三者承継で存続の道へ
アルクア飛騨の前身である飛騨工業は、海外での大量生産が9割を占める子ども用レインブーツを国内生産する、国内唯一のメーカーでした。1足ずつ職人の手でつくられる製品は、高い品質が評価され、大手メーカーのOEMを数多く手がけてきました。しかし、当時の社長が体調を崩したことから、第三者承継を決意。地元金融機関である益田信用組合萩原支店の熊﨑長司支店長(当時)に、譲渡先を探してほしいと依頼します。熊﨑支店長は、より専門的な意見を求めて岐阜県事業承継・引継ぎ支援センターに相談し、水谷靖サブマネージャーから「業界をよく知る取引先にお願いするのが早道」という助言を受けて、取引先1社に承継を打診しました。話を聞いた取引先企業も一度は承継に前向きでしたが、飛騨工業が抱えていた負債を理由に、承継を断念。譲渡先探しは振り出しに戻ります。その時、次の候補者として手を挙げたのが、従業員として生産を支え続けてきた西田尚人現社長でした。
会社や仲間を失いたくないという強い思いで
事業を承継し、新たな試みにチャレンジ
「ずっと一緒に働いてきた仲間と、もう一度仕事がしたい。苦労するならこの仕事で苦労しようと、挑戦を決めました」と、当時を振り返る西田社長。しかし一方で、やはりこれまでの負債を背負うことには大きな葛藤があり、「せっかくチャレンジするなら、自分の会社を立ち上げて事業を譲り受けたい」と思うようになりました。そこで水谷サブマネージャーは、企業の再生支援を行う公的機関を紹介。熊﨑支店長はできる限り負担を少なくするため、譲渡側との相談にも立ち会うなど、伴走支援を行いました。
その結果、西田社長は2024年8月にアルクア飛騨を設立。当初よりもいい条件で事業を継承し、元いた従業員と共に新たな一歩を踏み出しました。その後、2025年3月にはオリジナルブランド「Alqua」を開発し、5月にはネット販売をスタートして、OEMだけでなくB to Cにも挑戦。現在は、岐阜のものづくりを世界に発信して販路を広げようと、海外展開にも取り組んでいます。

職人が1つ1つ手作業で製造

自社ブランド「Alqua」を設立



株式会社アルクア飛騨
〒509-2506 岐阜県下呂市萩原町羽根1797-1
設 立
2024(令和6)年8月
従業員数
7名
事業内容
子ども用レインブーツの製造